たし算・ひき算の計算ミスが多い子が、正確に計算するための「手がかり」とは?

伊庭葉子, 赤塚智美

指を使って計算するのはいつまでOK? 10以上の数の計算はどのように教えるべき?子どものたし算、ひき算に不安をかかえる親御さんへのアドバイスを、 「さくらんぼ教室」の伊庭葉子先生、赤塚智美先生の解説を 著書より抜粋してご紹介します。

※本稿は、伊庭葉子著, 赤塚智美著『さくらんぼ教室メソッド 発達が気になる子の「できる」をふやす 算数』(Gakken)から一部抜粋・編集したものです。

正しく計算する

親の視点:たし算もひき算も、いつまでも指を使っていては時間がかかります。計算ミスも多いのですが、指を使わないと自信がないようです。いつになったら暗算でできるのかしら……。

子の視点:たし算もひき算も指を使って計算するのがいちばん安心。指を使わずに計算しなさいって言われるけど、どうして指を使ってはだめなの?

学びの手立て

計算に指を使いたいのは、「手がかり」がほしいからです。指を使うことによって、安心して正確に計算できるならそれでよいのです。無理に暗算させようとせず、徐々に「数えたし」にしたり、「〇をかく」方法も取り入れたりしていきます。子どもが一人で安心して確実に計算できる方法を優先してあげましょう。

STEP1:10までのたし算、ひき算

まず指を使ったり、○をかいたりしながら、答えが10までの数のたし算と10までの数からのひき算を確実にできるようにしましょう。安心して取り組みながら、少しずつスピードがつくように練習します。はじめは「たし算だけ」「ひき算だけ」で練習し、慣れたら、たし算・ひき算の混合にも取り組み、+・-の記号にも着目しながら練習します。

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STEP2:20までの数のたし算、20までの数からのひき算

数の分だけ〇や×をかくのがたいへんになってきます。「数えたし」も取り入れて、「答えが20までの数のたし算」を練習します。はじめは、〇や指を使ってよいので「自分で」「確実に」できるようにしていきます。答えが出たら、「〇+〇= 」のように式と答えを読んで、式として意識できるようにします。慣れたら、ひき算にも取り組んでみましょう。

STEP3:「いくつといくつ」を用いる

「7と3で10」「12は10と2」の考え方を復習したあと、「さくらんぼ算」の手順を一つひとつ目で見て確かめながら練習します。ただし、「合成・分解」を用いた計算方法は小学校の算数では一般的ですが、計算の手順が多く複雑になるので、子どもによってはミスしやすかったり「何の計算をしているのか」がわかりにくかったりします。難しい場合は「数えたし」などの方法で、確実に計算できるように練習しましょう。

STEP4:計算カードを用いて楽しく

たし算カードやひき算カードをつくって、声に出して練習しましょう。指を使う方法でも暗算でも、子どもが安心して確実にできる方法でやればよいのです。自信がついてくると指を使わなくても、暗算でぱっと答えが浮かぶようになります。

P O I N T

計算は、子どもが一人でできる方法で、楽しくたくさん練習するのが効果的です。一度にたくさん計算するのではなく、子どもの集中力や負担に合わせて「扱う数(いくつまで)」「問題数」「答えを書く枠」を調整しながら、毎日こつこつ積み重ねていきましょう。答えが出せたら一問ずつ〇をつけてあげて、「できた!」を実感できるようにしましょう。ミスがあったときには「×」をつけるのではなく、「おしい! 答えは6になるはずだから、もう一度計算してみよう」などの声かけで修正できるようにします。

さくらんぼ教室メソッド 発達が気になる子の「できる」をふやす 算数

さくらんぼ教室メソッド 発達が気になる子の「できる」をふやす 算数』(伊庭葉子著, 赤塚智美著/Gakken)

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